住宅に被害をもたらすシロアリは4種類?
シロアリは世界に発見されているだけで、2260種もいると言われています。
その中で、建物に被害を与えるのはその内の53種類。
シロアリは“アリ”という名前がついていますが、実は昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科に属する昆虫です。
大きなくくりでいうとゴキブリの仲間です。
アリはハチの仲間ですから分類が違います。
しかし、シロアリもアリと同じように女王アリを中心とした社会性昆虫です。それぞれが働きアリ、兵隊アリといった役割を持って集団生活しています。
シロアリの種類は?
日本に生息するシロアリは22種類(日本しろあり対策協会より)
その中でも、日本の住宅に被害を及ぼすのは4種類と言われています。
建物に被害を与えるシロアリ4種
シロアリは「土壌性シロアリ」と「乾材シロアリ」で大きく分類され、それぞれ水分が必要かどうかで営巣形態が異なってきます。
属性 | 名称 | 地域 |
土壌性シロアリ | ヤマトシロアリ | 北海道道北以外のほぼ全国に分布 |
土壌性シロアリ | イエシロアリ | 関東千葉より西以南に分布 |
乾材シロアリ | アメリカカンザイシロアリ | 全国に点在(外来種) |
乾材シロアリ | ダイコクシロアリ | 沖縄・小笠原諸島に分布 |
上記4種のシロアリは、それぞれ生息地域と生態が異なるので、見つけ方や対策方法も変わってきます。
土壌性シロアリと乾材シロアリの違い
土壌性シロアリと乾材シロアリは生態が異なり、コロニーの作り方(営巣)も異なってきます。
被害を及ぼす場所も異なってきますので、2つのシロアリの属性違いを知っておきましょう。
土壌シロアリ「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」
土壌性シロアリは「水分」を必要とするために、水分が確保しやすい土壌や湿気のある場所を好みます。
土壌性シロアリであるヤマトシロアリやイエシロアリは、シロアリ被害で多い種類です。
特段ヤマトシロアリの被害件数はイエシロアリを圧倒しています。
土壌シロアリは、土や腐った切株、濡れた段ボールなど濡れた材を好み、コロニーを形成したり(営巣)します。
イエシロアリは近年温暖化や住宅の高断材の利用で、生息地域か拡充しているので注視されています。
イエシロアリは乾材であっても、自ら白い液体を出して濡らしながら食べるので食害範囲が広く加害力が強いのが特徴です。
乾材シロアリ「アメリカカンザイシロアリ」「ダイコクシロアリ」
乾材シロアリは、土壌性シロアリに比べ水分をさほど必要とせず、乾燥している材に営巣をするのが特徴です。
土壌や湿った材でなく、乾燥している木材や発泡スチロールなどでも営巣できる為、非常にやっかいなシロアリとも言えます。
主に外来種である「アメリカカンザイシロアリ」は輸入材に付着して日本に来たとされ、古いアンティークの輸入家具や海外の木材などを経由して日本の住宅を点在しています。
海外(カナダのケース)では、乾材シロアリを発見した場合、家をまるごとビニールにくくり薬剤を充満させてシロアリ対策を行う程、徹底してシロアリ対策を行います。
それ程やっかいなシロアリの為に、見つけたら徹底的にプロによる駆除を行う事をお勧めします。
シロアリ4種の写真と特徴
ヤマトシロアリ
写真:日本しろあり対策協会
日本に一番多く生息しているシロアリです。
体長3〜6mm。このシロアリによる被害が全体の9割をしめています。
生息域は北海道道南・道央から九州。
ひとつのコロニー(集団)を構成する個体数は2〜3万匹。
湿った木材の中に網目状の巣穴を作り、周辺部を餌にしながら範囲を拡大していきます。
ヤマトシロアリの特徴
常に湿った環境を好むので朽ち木、廃材、立木や土の中で暮らしています。
生息環境に湿気が欠かせないヤマトシロアリは、まず床下から進入します。
そして、床下の中でも高温多湿の場所である浴室や洗面所、台所の下に棲みつきます。
そのため水回りの被害が大きいのが特徴です。
イエシロアリ
写真:日本しろあり対策協会
千葉より西・太平洋側の温暖な地域と南西諸島、小笠原諸島に分布します。
体長3〜7mm。家屋の地下に木くずや土地で固めた大きな本巣を作り、さらにそれを中心とした分巣もつくるので個体数は100万匹を越えます。
ヤマトシロアリと違い水を運ぶことができるため、乾燥している場所にも蟻道をつくって水を運び込み生息地を広げていきます。
イエシロアリの特徴
個体数が多く生息場所を選ばないため、被害は速いスピードで家中に広がります。
ヤマトシロアリよりも被害が短期間で大きくなります。
アメリカカンザイシロアリ
写真:日本しろあり対策協会
関東、近畿、九州などで発生が確認されている外来種、原産国はアメリカです。
水を必要しないので乾いた木材を住処にします。コロニーの個体数は2000〜3000匹程度ですが、体長はヤマトシロアリやイエシロアリの2倍くらいあります。
アメリカカンザイシロアリの特徴
主に海外からの輸入木材や家具に付着して日本に住みついたとされます。
乾燥に強いので水回りや湿気に依存せずに営巣できてしまうのでかなりやっかいなシロアリです。
乾燥に強いため家のどの場所から食害が広がるのか予想がしづらく、気がついたときには激しい被害が広範囲に広がっているという、業者泣かせのシロアリです。
ダイコクシロアリ
写真:日本しろあり対策協会
主に沖縄県や奄美大島以南、小笠原諸島などに分布している乾材シロアリです。
世界中の熱帯地域に生息していて、最も恐れられているカンザイシロアリ。
乾燥に強く、建築物、ピアノや木製家具等の中に住みつき世界中で拡大しています。
ダイコクシロアリの特徴
ダイコクシロアリは蟻道や特別に加工した巣を作る能力がありません。
また蟻道を作って遠い木材への移動が出来ません。よって普段は孔道の中で小集団で生活しています。
本州ではまだダイコクシロアリにおける被害の確認ができておりませんが、沖縄や海外からの運搬貨物で荷物に紛れて容易に入ってこれる現代の環境が危惧されています。
時代遅れになってしまった日本のシロアリ対策
以前は、シロアリの生息地域は限られ、また生息種も限られていた為に、シロアリの対策をベースに組み込んだ住宅の建設は稀でした。
「軒下などを乾燥させておけばよい」
と乾燥ありきの対策でシロアリ対策がなされ、虫食に強いとされていた木材を使っての木造建築などが多かったです。
しかし、高度成長期における「夢はマイホーム」による住宅建設ラッシュ時には、木材確保と加工がしやすい木材が多く使われ、風通りの悪い密集地での建設、水はけの悪い場所での住宅地造成など、住宅環境が悪い場所での住宅建設がもっぱらでした。
そんな住宅が、10年20年30年と絶ち、空き家となって放置されたり、シロアリ薬剤の有効期限が切れたりなど、シロアリの住処が急増しています。
また、アンティーク家具や、外国製の木材輸入などで外来種のシロアリが日本全国に点在するようになりました。
追い打ちをかけるように、近年多発する地震や水害によって生態系環境が崩れ、シロアリの都市部進出が顕著になってきています。
近年ではマンションにおいてのシロアリ被害も増えてきました。
シロアリ保険が出てくるようになったところを見るに、これからは継続的なシロアリ対策メンテナンスが必要な時代になっています。
DIYでもシロアリ対策はできますが、持続可能なシロアリ対策のメンテナンス計画がこれからの住宅(財産)を守る上で必要とされます。
長期的なメンテナンス計画を相談する上で、プロを活用される事をおすすめします。