シロアリの被害と早期発見のポイントは?
建築方法は日々発達し住宅の性能は驚くほど進化しています。
快適に暮らすための設備、地震などの自然災害に対する備え、断熱や自家発電による省エネルギー化など、どの面をとっても数十年前とは比べものになりません。
しかし、現在でも日本の住宅の基本構造は木造です。
このことは、木材が温暖多湿の日本の気候に最もあった建築材料であることと、国内でその需要を賄える特性を持っている限り、今後も変わることはないでしょう。
その木材を餌にして繁殖し、大切な住宅を根本からダメにしてしまうのがシロアリです。
シロアリの被害
シロアリの被害が見つかりにくい理由
シロアリは木材を主食としています。また、シロアリは太陽の下でも活発に行動するクロアリたちとは違い、暗くて湿気の多い場所を好みます。
木造住宅で日の光が届かない、風通しが悪い、湿気の多い場所はシロアリにとって恰好の住処になります。
この条件に当てはまるのは床下、壁の中、天井裏などです。
床下が高く、柱や梁がむき出しだった昔の住宅とは違い、現在の建物は床下や天井裏へのアクセスが難しく、柱は壁の中に埋め込まれています。
シロアリたちの好む住処は普通に暮らしていれば目につかない場所ばかりなのです。
シロアリ被害の写真
シロアリは餌は木材ですが、餌場にたどり着くまでにコンクリートや比較的柔らかい金属まで食い破ります。
新築材の被害鉄筋コンクリート造校舎の床板の被害
鉛板の被害
コンクリートの被害
写真:日本しろあり対策協会
シロアリ被害にあった部分を発見した場合、そこにたどり着くまでの蟻道(ぎどう)において、住宅は食い荒らされていると認識し、被害調査が広範囲に渡る事を認識しましょう。
気がついたときにはすでに手遅れ
本来目につかない場所で活動しているシロアリの姿を目にするようになったとき、その被害はすでに手遅れになるほど広がっている可能性が大きいといえます。
シロアリは光や乾燥を嫌うため、木材の表面を残して中だけを食い荒らしていきます。
木材の外からシロアリの食べた痕が確認できるようになら、その中はスカスカになっていると考えてください。
そうなったら家の構造材としての役割を果たすことができません。
一夜にして家が崩れ落ちてしまったという話もあながち大げさだとはいえません。
シロアリは木造住宅のどこにでもいる
シロアリは木材を主な食べ物としており、暗くて湿気の多い場所を好んで活動します。
日本の木造住宅の構造を考えてみてください。
いつもの暮らしで使っている居間や台所、玄関、洗面所、お手洗いや寝室そして庭。どこにでも木でで出来ているところ、暗いところ、湿気の多いところがあります。
目に見えている場所ですらそうなのですから、床下、壁の中などはシロアリにとって絶好の住処だといえます。
シロアリの食べ物は木材だけじゃない?
シロアリの好物は木です。そのため木造住宅に住みついて大切な建物に致命的な被害を与えてしまうのですが、なんとシロアリは木材以外の構造物も食い荒らすことがわかっています。
コンクリートや発泡スチロール、プラスチック、段ボール、電気ケーブルの被膜、屋根瓦、ゴム製品、皮革製品まで食べてしまうのです。
それほど強い食性をもっていますから、本来シロアリに強いといわれているヒノキやヒバのような防虫効果が強いといわれている木材でも安心できません。
家屋のどの場所でも、目に見えないうちにシロアリの被害が広がっている可能性があります。
シロアリ被害は大丈夫?簡単チェックシート
シロアリ被害を早期発見でくいとめる
シロアリの被害は時間を追うごとにひどくなっていきます。気づかず放って置いたため家が倒壊してしまったという実例もあります。
目安として築年数が5年以上経った住宅なら専門家の調査を依頼することをお奨めします。
湿気の多い土地の場合、5年ですでにシロアリの被害が広がっていたという報告もありますから立地条件によってはもっと早い段階での調査が必要です。
シロアリの被害を最小限に抑えるには早期発見が大切です。
シロアリチェックシート
シロアリの被害を早期発見するためのチェックポイントをリストアップします。
それぞれの場所でひとつでもYESがあるなら要注意です。
- 水がたまっていませんか
- カビが生えていませんか
- シロアリが土や排泄物を粘液で固めてつくった“蟻道”はありませんか
蟻道:シロアリが地面から餌になる木材まで光や乾燥を避けて辿り着くためにつくったパイプのようなトンネル
- 柱を叩いてポンポンと空洞の音がしませんか
- 柱や床、押し入れがカビで変色していませんか
- 鴨居が下がっていませんか
- ドアやふすまの開け閉めに支障はありませんか
- 床が浮いていませんか
- 羽アリはいませんか
- 切り株や放置している木材などにシロアリの食べた痕跡はありませんか
- 羽アリはいませんか
- 住宅基礎部分に蟻道はありませんか
- 垣根がぐらついていませんか
木材以外にも庭に放置してある畳や布製品、屋根瓦などがある時はひっくり返したり、ほじくったりして確認してみてください。
ご近所でシロアリを駆除した直後なら、なおさら注意深くチェックしてください。
シロアリの被害が出る前に駆除!
シロアリの活動は目立たない
シロアリは人の目につきにくいところで繁殖します。
彼らが餌にしているのは家屋の構造材である木材です。光や乾燥を嫌うため木材の表側を残し、中身をドンドン食い荒らしていきます。
シロアリの被害が進んだ家では、一見、丈夫そうに見える柱の中が、がらんどうになっていることも珍しくありません。
家の重さで倒壊の危険も
床下の基礎部分や柱、梁がいつの間にか空洞になっていたとしたら。
そうなってしまったらそれらの木材は家を支えることできません。
ちょっとした地震の揺れで、いえ、地震が起きなくても家屋自体の重さを支えることができなくなりいきなり倒壊してしまう恐れだってあります。
シロアリの被害が広がる前に駆除
シロアリの被害が出てしまってからでは遅いのです。
まずはシロアリの存在の有無を確認しましょう。
もし、シロアリが棲みついている痕跡を見つけたら、迷わずに駆除しましょう。
庭に放置している木材などに棲みついているだけの最初期であれば自分自身で駆除することも可能ですが、屋内でシロアリの存在を確認したときはプロに調査を依頼しましょう。